024:『扉は閉ざされたまま』石持浅海

ISBN:4396207972
このミス2005、国内第…何位だっけ。個人的には同作者の作品は『月の扉』以来。
古畑同様、先にトリックと犯人を全部見せてしまって、犯人と探偵のやり取り、探偵の推理過程を楽しむ、いわゆる倒叙もの。
密室物といえば鍵のかかった扉をぶち破って状況を観察、小さな証拠を見つけて推理を展開していくのが世の常。しかし、こいつは違う。
密室を「開封」しないままトリックは完全に置いてけぼり。密室を自分の意図したタイミングで開かせようとする犯人と、乏しい材料による鋭い状況認識で密室を一刻も早く開封しようとする探偵が、他のメンバーの心理を意図に気付かれないように誘導する心理戦を繰り広げます。
この構成だけでもうお腹いっぱい。よく考えた。減点は動機がイマイチ納得できない点くらい。あと、心理描写が…
総合的には一押しです。ヒロインエロ可愛いとか言う発言は慎みます。