感想blogの構造の「中心の不在」問題

議論の場合、TBによってリンク関係と話題両方の中心となる「ハブ」が自動的に生成される。
外部メディアの場合、話題の中心であるメディアがTBを受信できないため、ハブが自動生成されない。
TBセンターは人為的に「ハブ」を作る有効な方法だが、人工物であるが故の利点と欠点を持つ。
はてなキーワード最高。
外部メディア関係者は公式blogを作りハブを用意する事でファンコミュニティを強化できるかもしれない。

話題の中心の自然形成法としてのTB

議論の場合は大抵「火付け役」が存在するため、意識せずともそこを中心として議論が進行します。
TBを適切に使用している場合、意識的にそうしようと思わずともリンクがこの一点に集中し、この「中心」が関連話題への交通の要所としても機能します。(広義の)ネットワーク用語でハブと言いますが、鉄道で言えば新宿や上野などのターミナル駅に相当します。
これによって、新たにその内容に言及しようと考える人物が議論の流れを把握しやすくなるため議論が混乱しにくく、また閲覧者も自分の興味ある問題への言及が一箇所にまとまっているため、容易に情報を収集できます。多数に言及されている≒価値ある情報へのアクセスが容易になる点もこのシステムの利点です。
みんなが自分の好き勝手やった結果、みんなに便利な構造が自動生成される、とてもweb2.0的なシステムといえます(この辺のシステムについてはSixApart界隈かMT界隈に良い資料があるでしょうから、興味のある方はそちらも参照のこと)。

外部メディアへの言及における差異

しかし、外部メディア(アニメ、小説、映画etc...)などに対する論評の場合、本来TBを送る先であると考えられる話題の中心=アニメや小説etc.の各種メディアにTBを送信する事が出来ないため、この「ハブ」が自然形成されません。
以前はサイト数も少なく、有力個人ニュースサイトが積極的に「〜感想まとめ」を執筆し、ハブの役割を果たしていました。また、特にアニメでは少数のサイトが複数のアニメに対し感想を執筆する事が多く、作品ごとにコミュニティが分化していなかったため、リファラ頼りにゆっくり蓄積されていく「アニメ感想サイトリンク集」みたいなもの(サイドバーによくあるアレ)で互いに連結を保っていました。
しかし、現在ではサイトの絶対数が多く、アニメに関して言えば放映数も膨大になり全てのアニメをチェックするのが困難な状況になり、この仕組みが崩壊しつつあります。
ハブ不在の状況でもリンクを渡り歩く事で全サイトに辿り着く事は恐らく可能ですが、効率は遥かに落ちます。

TBセンターの利点と欠点

同じマンガの感想を書いていることを知ってもらいたいのなら、トラックバックセンターでも開設してはいかがでしょう?

指摘されているように、外部メディアの代わりにTBセンターを使うという代替手段があります。
ハブを確保できる以外のこの仕組みの利点は、個人サイトがハブになる事が原理的に不可能なため、ハブの座を奪い合う権力闘争(笑)を見る必要がない事です。話題の中心が固定されるため全体でひとつのコミュニティとなり、派閥抗争も構造的に起きにくくなります。
欠点は、まずはTBセンター自体が乱立し、一箇所にまとまる気配が無い事です。この結果、サイト運営者は複数のセンターに毎回TBを打つ手間をかける必要があり、感想を探す人は複数のセンターを渡り歩き重複に辟易しつつのブラウジングを強いられます。
(TBセンター自体の「価値」の評価を伴わないTBのため、中心が一箇所に収束する自動補正の仕組みが働かないせいでもあるが、今回は割愛)
加えて、意識的にアクションを起こす必要がある点です。TBの場合、言及関係を示すために、見ているサイトにTBを打つだけでハブが形成されましたが、この場合はハブを作るという目的自体のために、センターのTBurlを確認してTBを打つ必要があります。

脱線:はてなキーワードとblog検索

はてな」の場合は、キーワードリンクによって、特定のワード(例えば作品タイトル)への言及一覧が自動的に生成されます。キーワードページが交通上のハブとなるわけです。表記ブレや、あるいはタイトルがたまたま出ただけで内容には触れていないというノイズは発生しますが。
ちなみに、この仕組みがあるから、自分は書評や書籍紹介以外で書籍へのISBN言及をするのを意識的に回避しています)
はてな外のサイトならば、例えばblog専門サーチエンジンでキーワードを検索し、感想をピックアップしていく方法が効率が良いと思われます。サイト閲覧者がその方法に気がつかない限り利用できないという意味でアクセシビリティが低下しますが。

公式blogという可能性

一番手っ取り早い解決策は、「公式」側でTB先を用意してしまう事です。アニメや連載のような継続性のあるメディアならばblogにしてしまうと手っ取り早いかも知れません。内容は声優の雑談みたい独立した関連コンテンツではなく、内容そのものを反映というか投影というか丸写ししたものにします。毎回のあらすじ紹介をblog化してしまうだけで必要十分でしょう。
アニメを見た後、公式サイトをチェックするという手間が閲覧者/執筆者双方に生じますが、これによって感想リンクはほぼ間違いなく、一番分かりやすい一箇所に集積される事となります。ネガティブな感想TBを検閲される可能性はありますが。
ハブの形成はファン同士のつながりを生み強化するはずなので、公式側としてもじゅうぶんメリットのある話だと思うのですが。
ファン側でこうした「中央」を作るという手もありますが、まあ多分まとまらないでしょう。感想には議論ほどしっかりした価値評価は伴いませんし。

議論に参加する気の無い奴はムラに帰れ

まず最後の一行から。主語を意図的にぼかしているようなので明確にして言い換えます。「私は議論の結果如何に関わらずムラ社会内の慣習を支持する」。それが結論なのだとしたら、議論の余地はありません。
ちなみに無言及TBの数は「無言及TB容認派の」「ブロガーに」どれだけ読まれたかの指標に過ぎません。カウンタの方が読まれた回数の測定には圧倒的に適しています。あるいは、はてなブックマークのブクマ数を数えれば、(はてブユーザ内で)ブクマするに足る価値のある感想だ、という評価を得た回数をカウントする事が可能です。感想メールなんてのもあります。web拍手とかいうのもあったはずです。
TBは閲覧者にも公開されるものです。運営者の仲間意識の向上や人気の計測は結構ですが、運営者の身勝手のために好き勝手に標識を立てて閲覧者のwebサーフィン(笑)を妨害しないで欲しい。標識には標識の使用法があり、用途外使用は交通法規の崩壊を招きます。

(笑)メソッド

イケてない、しかし便利な単語を使いたいときに、語尾に(笑)をつける。

  • 「自分はその単語がイケてないと知ってるよ」という主張を明示的にする事で、「あいつはイケてない」という評価を未然に回避。
  • アルファブロガー(笑)、webサーフィン(笑)など。
  • 単語使用の意図を汲み取ってくれない人対策なので、そんな所からの評価をいちいち気にするのが非モヒカン的。正しいモヒカーナは使ってはいけない。
  • いわゆるメソッドの変種。

024:『扉は閉ざされたまま』石持浅海

ISBN:4396207972
このミス2005、国内第…何位だっけ。個人的には同作者の作品は『月の扉』以来。
古畑同様、先にトリックと犯人を全部見せてしまって、犯人と探偵のやり取り、探偵の推理過程を楽しむ、いわゆる倒叙もの。
密室物といえば鍵のかかった扉をぶち破って状況を観察、小さな証拠を見つけて推理を展開していくのが世の常。しかし、こいつは違う。
密室を「開封」しないままトリックは完全に置いてけぼり。密室を自分の意図したタイミングで開かせようとする犯人と、乏しい材料による鋭い状況認識で密室を一刻も早く開封しようとする探偵が、他のメンバーの心理を意図に気付かれないように誘導する心理戦を繰り広げます。
この構成だけでもうお腹いっぱい。よく考えた。減点は動機がイマイチ納得できない点くらい。あと、心理描写が…
総合的には一押しです。ヒロインエロ可愛いとか言う発言は慎みます。