最強スナイパー決定戦


射撃では100%の命中率を誇るゴルゴと、
60%の命中率を誇る次元、そして30%の命中率ののび太
この三人が決闘をすることになった。

ルールは、好きな相手を狙って、三人が一発づつ順番にピストルを撃つ。
射撃の順番は、のび太、次元、ゴルゴの順番だ。
のび太が生き残る確率を最大にするためには、最初の一発で誰を狙うべきだろうか?

のび太のスナイプ戦略

せっかく計算したので某掲示板に一回投下した結論を再検討し再利用。
事前の交渉によるタッグ結成が出来ないならとても簡単。
のび太の狙いに関わらずのび太と次元の成否で4通りに場合分けしてしまうと計算が楽。

A.ゴルゴを狙う
54%で次元と一騎打ち、28%でゴルゴと一騎打ち、18%で死亡。
B.次元を狙う
42%で次元と一騎打ち、28%でゴルゴと一騎打ち、30%で死亡。
C.自分を狙う
42%で次元と一騎打ち、28%でゴルゴと一騎打ち、30%で死亡。
D.わざと外す
60%で次元と一騎打ち、40%でゴルゴと一騎打ち、死亡はあり得ない。

で、決勝戦。ともにのび太先手。

のび太v.s.ゴルゴ
勝率30%
のび太v.s.次元
勝率41.666...%

最終的なのび太の生存率はD(37%)>A(30.9%)>B=C(25.9%)。
わざと外すのが可能なルールならそれが正解。
誰かを狙わないといけないならゴルゴに照準を合わせるべし。
外れる事を祈りつつ(外せば自分の決勝進出は確定、当てると60%の確率で死ぬ)。
なお、以下ではわざと外すのが可能であるという前提で書いている。

次元の陰謀

のび太がDの戦略をとった時、次元の勝率は35%、ゴルゴの勝率は28%。
ここで、勝率を伸ばすため他人と組む事を考える。以下、こっそり組んで敵にその事実がバレないとしよう。
ゴルゴと「あんな少年誌野郎に負けるのは気に入らない。まずのび太を殺ろう」と持ちかけたとする。この場合、60%の確率でゴルゴ、40%の確率で次元の勝利となる。
極めてアンイーブンな取引だが、次元もゴルゴも最初より安全になっているため、取引は成立する。
次に、のび太と組んでみる。ガンマンに憧れるのび太は次元の言う事をきっと聞くだろう。次元の勝率は49.5%、のび太は30.9%、ゴルゴの勝率は19.6%。
次元の勝率は最高になるが、のび太の勝率は低くなる。土壇場で裏切られるのがオチだろう。
よって、次元の最高の戦術は「ゴルゴと組みのび太を狙う」である。

ゴルゴの計略

さて、最後にゴルゴである。
ゴルゴの取りうる選択肢は次元より多少広い。
まず、次元と組む戦略。さきほどの通りである。
次に、のび太と組んで次元を陥れる。世界最強のスナイパーの頼みを撥ね付ける勇気は一小学生には無いだろう。この時の勝率はゴルゴ49.6%、次元24.5%、のび太25.9%。
のび太の生存率は減少している。この計算をのび太ができるかについては疑問の余地があるが、受け入れられないと考えてよいだろう。
これだけではない。彼には最終手の利点、裏切りが残されている。
まずいかにも望み薄そうな「のび太と組み、裏切る」場合。勝率は41.2%。次元は41.3%、のび太は17.5%である。裏切らない方が勝率が高くなる。
次にいかにも有望株な「次元と組み、裏切る」場合。勝率は脅威の88%。次元の勝率は皆無であり、のび太の勝率は12%。
ゴルゴの最適解は「次元と組み、裏切る」である。

そして心理戦

コンビを組んだ事がターゲットに事前に察知されたらどうなるだろう。
まず、のび太-次元のたくらみがゴルゴの情報網に引っかかった場合。ゴルゴはどのみち次元を狙うより他に無く、状況に変化は無い。
次元。のび太-ゴルゴの結託をルパンチームに探らせるが、上記同様に対策のしようが無い。ゴルゴと組み、不二子をゴルゴの元に送って裏切りを察知できた場合は…のび太とは組めないので自分ひとりで戦うしかなく、結託なしの単独戦同様になる。
次に、次元-ゴルゴ組の陰謀をのび太がタイムテレビか何かで察知した場合。誤射戦略は「ゴルゴは次元を狙う」という前提があってのものであり、この戦術は使えない。のび太はゴルゴを狙うべきだが、勝率はそれでも5%。次元は41.8%、ゴルゴが53.2%。おお、次元の勝率が上がっている。次元はゴルゴと組んだ場合、裏でその情報をのび太に流すべきだ。
さらに反則気味だが、次元-ゴルゴの結託を察知し、何らかのひみつ道具でゴルゴの裏切りの意思まで読んだ場合。のび太にとっての当面の唯一の敵は次元。だが、次元を殺せばゴルゴのピンポイントスナイプが待っているわけで、次元を狙うと勝率は8.4%と、誤射戦術時の12%を下回る。ゴルゴの裏切りに気付いても何ら事態は好転しない。

決着

ゴルゴは(自分は裏切るつもりで)次元に同盟を申し入れる。合理的に考えればゴルゴは裏切るのが確実であるため、次元はこれを撥ね付ける。
あるいはコンビ結成を装ってのび太にその事実をリークする。が、次元がゴルゴと組むことは次元にとって明らかに不利なため、のび太はこの嘘を見抜く。
結局のび太は地面を狙い、次元はゴルゴを狙い、ゴルゴは次元を狙うと言う最初の形に落ち着く。
相手が信用できないので結託できず、結局個人戦に落ち着くのである。

とりあえずこういう解答になったが、筆者は確率論や戦略論、論理学の類の授業を受けた訳ではないため、間違ってるかも知れない事を念のため付記しておく。
…案外面白いなぁ。松原ゼミ受けておけばよかった。